本邦における外国生まれ結核患者の疫学
(IASR Vol. 46 p50: 2025年3月号) 太田先生
外国生まれ結核患者数は, 2000年に837人であったが, 2023年には1,619人と増加してきた。図1に年齢階層別外国生まれ結核患者割合の推移を示す。2000年には全年齢で2.4%であったものが, 2023年には16.0%と約7倍となった。特に, 20~29歳の年齢階層では, 2023年には84.8%が外国生まれの患者で占められるようになった。
結核治療の現状
(IASR Vol. 46 p53-54: 2025年3月号) 吉山先生
なお, 日本では耐性よりも薬の有害事象のために標準治療ができない例が多くみられている。学会では, 結核治療のカギとなる, INHとRFPが使えないときのレジメンの推奨を行っている5)。薬の有害事象発生時には, 有害事象を減らすことを念頭に置きすぎるため, しばしば少数の薬の使用, 量を減らした治療, などが行われる。学会の推奨文書では, 治療開始早期には多くの薬を併用して菌をできるだけ早期に減らして, その後もできるだけ多剤併用を継続することにより, 耐性化の危険を減らし治療失敗させないことを強調しており, 十分な数および量の薬を継続することが重要である。特に, 結核の治療失敗の判断は培養検査によって行うが, 培養陽性となるのは検体を採取してから数日, あるいは, 数週間か後であり, 実際に培養が生えて治療が適切でないと判断された時期には, 検体採取時点以上に耐性の獲得などが進んでいる場合がある。